CRC(治験コーディネーター)とは?

この記事を書いた人】ナナコ 1978年生まれ。元看護師の現役CRCです。看護師の仕事が肌に合わず、2010年に思い切ってCRCへ転職!CRCの仕事が楽しくて人生が変わった一人。この仕事を広めるために活動中!⇨詳しいプロフィールはこちら

この記事ではCRC(治験コーディネーター)の概要についてご紹介します。

まず“CRC”について学ぶ前に、大前提として知っておかなければならないのが『臨床試験』や『治験』という言葉。

臨床試験とは、「薬」の候補となる物質が、研究室の試験管内や動物実験を経たのち、いよいよ「人」に対して投与する段階になった試験をさします。

臨床試験の中でも『厚生労働省に申請するためのデータを集める』ことを目的とした試験だけをさして治験と呼びます。

なので、治験は臨床試験の一部なんです。

CRC(治験コーディネーター)とは?

治験コーディネーターとは
CRC(Clinical Research Coordinator)とも呼ばれ、
医療機関で治験が円滑に進行できるよう、運営を支援する専門家です。

治験を実施する医療機関において、被験者(患者)さんと医師、治験依頼者(製薬会社)の間に立って調整役となり、医学的判断を伴わない業務や、治験に係わる事務的業務、
治験に関わるチームの調整等、治験業務全般をサポートするのが治験コーディネーターの仕事です。

20年以上昔までは「CRC」という職種がなく、代わりに『Study Nurse(スタディ ナース)』と呼ばれる看護師が、病院で働く医師の臨床研究をサポートしている時代がありました。
看護師は、疾患や薬剤に関する知識をバランスよく持っていて、患者さんと接するのも慣れているので、CRCに最適なバックグラウンドだと言われています。
今でも、CRCの半数近くは看護師免許をもった人なんですよ。

日本国内で新薬を新たに生み出していくためには、CRCの力が欠かせません。

日本では国民皆保険制度があるので、病院の窓口で支払う医療費が安いですよね。現役世代でも3割負担で済みますし、75歳以上の高齢者になるとたったの1割負担。

それはそれでいいことなのですが、日本の病院で働く医師は、海外と比べると非常に多忙を極めます。
だから日々の診療だけで手一杯で、研究や試験にまで費やす時間がないんですね。

でも、医療がより良く進歩するためには、新しい薬剤、技術の開発が欠かせませんし、その開発のためになくてはならないものが『治験』。

CRCには、治験に関わる医師の業務を支援することによって、その負担を軽減しつつ、
治験の品質・スピード向上を図る
という重要な役割があるんです。

医療がより良く発展していくためには、『CRC』という職種は欠かせないんですね!

CRCになる方法について知りたい方は、こちらにまとめていますのでご覧ください^^

CRCは誕生からまだ20年余りの職種

日本に初めて治験コーディネーターが誕生したのは、新GCPが制定された1997年。

GCPとは、薬事法に基づいて定められた省令で、
「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(Good Clinical Practice)」の略。

CRCは、登場してからわずか20年余りの、比較的新しい職種だと言えます。

臨床試験をする上で、このGCPは必ず守らなければいけません。
絶対に絶対に守らなければいけない、『憲法』のようなものだと思ってください。

「CRC」には“院内CRC”と“SMOのCRC”の2種類ある

「治験コーディネーター」と一言でいっても、実際には、“所属”の違いによって2種類に大別することができます。
それは「病院」に所属する人と、「SMO」に所属する人です。

1)治験を実施する医療機関に直接雇用されている職員(通称:院内CRCと呼ばれます)
→通常、一般の看護師や薬剤師といった業務を兼務していることが多い。

2)SMOに所属して医療機関に派遣されるCRC(通称:SMOのCRCと呼ばれます)
→労働者派遣法により、看護師免許があっても、院内で採血などの医療処置は行えない。

SMOとは(Site Management Organization:治験施設支援機関)の略で、治験をする医療機関と契約して、煩雑な治験業務を支援する会社のこと

治験とは?

さて、ここであらためて、『治験』について詳しく説明します。

先ほども述べましたが、新しい「薬」となる物質の有効性や安全性を『人』で調べる試験を「臨床試験」といいます。

治験とは、臨床試験の中でも
厚生労働省から「薬」として承認を受けるために行う臨床試験のことを指します。

我が国では、毎年40〜50種類ほどの新薬が誕生しているんですよ。
新薬を誕生させる過程を大きく分けると、

①基礎研究(試験管の中での試験)
②非臨床試験(動物を用いての試験)
③臨床試験(人を対象とした試験)

の3段階になり、『治験』は③臨床試験(人を対象とした試験)に含まれます。

そして治験もまた、次の三段階に分けられます。

治験の3段階

第Ⅰ相試験

健康な成人を対象に、開発中の薬剤の「安全性」を主に確認します。
また、薬剤の吸収から排泄までの流れを確認します。

第Ⅱ相試験

少数の患者さん(対象となる疾患をもつ患者)を対象にした試験です。
被験者(患者)を複数のグループに分け、その薬剤の効果がもっとも高く、
そして副作用が少ない、最適な「量・投与間隔・投与期間」を調べます。

第Ⅲ相試験

多数の患者さん(対象となる疾患をもつ患者)を対象に、実際の治療に近い形で投与し、
効果と安全性を確認します。
すでに承認され、一般的に使われている既存の薬よりも効果が高かったり、
副作用が少なかったりと、何らかの優れた点を証明する必要があります。

マメ知識・・・「適応拡大」という治験もある

治験は、新薬誕生のときだけでなく、
すでに他の疾患で承認販売されている薬の「適応拡大」というものもあります。
例えば、脳梗塞で承認された抗血小板薬(血液をサラサラにする薬)を
心筋梗塞の患者さんにも使えるように(適応を追加)することです。
また、最近、薬価の問題で有名になった抗がん剤オプシーボも、
皮膚ガンに対する適応承認を得た後、肺がん患者さんへも適応拡大されましたね。